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文献詳細

雑誌文献

生体の科学37巻4号

1986年08月発行

文献概要

特集 細胞生物学実験マニュアル 細胞工学

レーザーによる細胞破壊法

著者: 伊藤文雄1 曾我部正博1 吉村篤司1

所属機関: 1名古屋大学医学部第二生理学教室

ページ範囲:P.316 - P.318

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 ■ 概要
 近頃ではレーザー技術の進歩によって細胞工学へのレーザーの応用も簡便でかつ低価格になったため,誰にでも手軽に利用できるようになった。約10年前にわれわれがレーザー光による組織の微小破壊について紹介して以来1)その技術は多方面で使われてきた。この方法はレーザー光をレンズを使って集光し,マイクロビームで細胞の一部を破壊するものである。無染色のままで微小破壊に成功しているのは天然の色素をもつ組織細胞が多い。たとえば,ヘモグロビンをもつ赤血球,黄色色素を含む粘菌,メラニン色素をもつ網膜などが挙げられる。そのような色素をもたぬ細胞を微小破壊するには,あらかじめアクリジンオレンジ,メチレンブルー,ヤヌスグリーン(文献1を参照)などで生体染色した後,レーザー光を照射している。しかし細胞内高分子や細胞内小器官がレーザー光を吸収することもあるから2),試行してみるのもよい。その考えでItoら3)はカエル筋紡錘神経末端の有髄神経枝を切断している。その方法(集光法)を第一に解説する。
 第二には選択的光熱破壊法selective photothermolysismethodを紹介する。これはレーザー光に敏感な色素を,目的とする細胞に取り込ませるか注入し,その細胞を含む組織全体をレーザー照射する。目的の細胞は破壊されるが,他の細胞は健常である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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