文献詳細
特集 細胞生物学実験マニュアル
細胞膜・小器官分析
文献概要
■概要
酸性ムコ多糖(ムコ多糖)と蛋白の複合体をムチンあるいはムコ蛋白という。ムコ多糖はヘテロ多糖で,一般に二種の単糖から成る二糖が単位となって繰り返しの構造になっており,二糖の少なくとも一つはカルボキシル基か硫酸基をもち,またアセチル化ないしスルフォン化したアミノ基をもっている。これらの多糖はポリペプチドの糸に樹枝状に結合して糖蛋白を作っている。ポリペプチドの糸は細胞のリピド分子二重膜の中に浮いている膜蛋白の延長である。したがってムチンは細胞表面をおおっているが,あるものは粘液として体外に分泌され,またあるものは組織内に分泌されてヒアルロン酸と結合し,細胞間質を充たしている。こうしてムコ多糖は細胞の表面や組織間隙の負荷電環境を保つと同時に,細胞の物質取り込み,細胞相互の接着または運動のための潤滑油の役目をしている。したがって,ムコ多糖の局在を知ることは細胞ないし生体全体の機能を考えるうえにきわめて重要である。
酸性ムコ多糖(ムコ多糖)と蛋白の複合体をムチンあるいはムコ蛋白という。ムコ多糖はヘテロ多糖で,一般に二種の単糖から成る二糖が単位となって繰り返しの構造になっており,二糖の少なくとも一つはカルボキシル基か硫酸基をもち,またアセチル化ないしスルフォン化したアミノ基をもっている。これらの多糖はポリペプチドの糸に樹枝状に結合して糖蛋白を作っている。ポリペプチドの糸は細胞のリピド分子二重膜の中に浮いている膜蛋白の延長である。したがってムチンは細胞表面をおおっているが,あるものは粘液として体外に分泌され,またあるものは組織内に分泌されてヒアルロン酸と結合し,細胞間質を充たしている。こうしてムコ多糖は細胞の表面や組織間隙の負荷電環境を保つと同時に,細胞の物質取り込み,細胞相互の接着または運動のための潤滑油の役目をしている。したがって,ムコ多糖の局在を知ることは細胞ないし生体全体の機能を考えるうえにきわめて重要である。
掲載誌情報