icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学37巻4号

1986年08月発行

特集 細胞生物学実験マニュアル

細胞単離

血管内皮細胞単離法

著者: 岡部哲郎1

所属機関: 1東京大学医学部第三内科

ページ範囲:P.385 - P.387

文献概要

 ■ 実験動物の選択
 通常,実験に用いている血管内皮細胞は,ウシやブタの血管,およびヒトの臍帯静脈由来の場合がほとんどである。この三種の動物由来の血管内皮細胞は,それぞれin vitroで異なった性質を示すため,実験の目的に応じて,まず,動物の選択をする必要がある。大きな特徴は寿命である。ヒトおよびウシ由来の血管内皮細胞はその寿命が割合に短い。したがって,これらの動物由来の血管内皮細胞は,cell lineの樹立,cell cloningなどを行う必要のある実験などには適さない。これらの動物の血管内皮細胞は主にprimary cultureやshort-term cultureでの実験系に用いられている。とくにヒトの臍帯静脈由来の血管内皮細胞の寿命は短いので,実験のたびにprimary cultureを行うようなことになる。一方ブタ由来の血管内皮細胞は寿命が長い。われわれの研究室では,6年ほど前よりミニブタの大動脈,肺動脈,冠状動脈および脳底動脈より血管内皮細胞を分離し,cell cloningを行って,cell lineの樹立を行ってきたが,ブタの血管内皮は比較的cell lineになりやすく,cloneを分離することも可能である。分離したcloneはアンジオテンシン変換酵素などの血管内皮に特徴的な物質の産生能を保持しており,また染色体もdiploidのままであることが多い。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら