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文献詳細

雑誌文献

生体の科学37巻4号

1986年08月発行

文献概要

特集 細胞生物学実験マニュアル 細胞単離

セルソーターによる細胞選別法

著者: 早川京子1

所属機関: 1大阪大学細胞工学センター

ページ範囲:P.390 - P.392

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 ■ 概要
 セルソーターは,不均一な細胞集団を含む溶液から特定の細胞(群)を,細胞表面分子の表現の違いをもとに定性定量的に解析し,かつ単離する能力をもつものである。細胞流中の細胞は,特定の波長のレーザー光線をあてることにより散乱光を発し,また,細胞表面に結合した螢光物質がある場合には螢光を励起放射させ,その螢光度が測定される(図1)。もちろん,細胞以外にもあらゆる種の粒子状のもの,核や染色体に対しても応用されるが,近年,各種のモノクローナル抗体が作製され,multiparameterによる解析が可能となったことから,細胞集団の解析と単離は,大きさや各種の表現の違いをもとに総合的に判断することによって,実に詳細,かつ正確に行えるようになった。セルソーターは,細胞を1個ずつ96穴のプレートに単離する(クローニング)こともできる(付属品が必要)。これによってハイブリドーマや細胞株のクローニング(確立した細胞株でも定期的にクローニングが必要)が容易に1),しかも信頼をもってできるようになった。また,非常に稀に起こる変異株や2),遺伝子をトランスフェクトした細胞集団から,実際に目的の遺伝子産物を表現している細胞を単離しクローン化する3,4)などの際にも有用な手段を提供している。
 フローサイトメトリーの構造と作動理論については他の総説を参考にされたい5-10)。ここでは,利用者としての実際の注意すべきポイントのみを述べる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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