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特集 細胞生物学実験マニュアル 基本技術
プロテインA-金(pAg)法
著者: 横田貞記1
所属機関: 1山梨医科大学解剖学教室
ページ範囲:P.412 - P.414
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pAg法はHorisbergerら1)によって初めて細胞の表面を標識する方法として走査電子顕微鏡に導入された。その後,この方法はRothら2)によって超薄切片上の抗原検出に応用され,現在もその適用射程を広げている。原理はStaphylococcus aureusの細胞壁蛋白,プロテインA(pA)がIgGのFc部分と特異的に結合する3)という性質を利用して,切片上の抗原と結合したIgGを検出するもので,pAをあらかじめ金コロイドで標識しておけば抗原の位置は金粒子として可視化される。ここで異なった大きさの金粒子を結合したpAを使えば,同一切片上で複数の抗原を検出することが可能となる4)。一般に,免疫細胞化学の方法は抗体を組織や細胞に作用させる段階によって,前包埋法と後包埋法の二つに分けることができる。pAg法は後者に属し,前包埋法の最大の難点である抗体の組織への浸透の問題は,切片の表面で抗原—抗体反応を行うので,完全に回避できる。しかしながら,一方で固定—脱水—包埋の過程で引き起こされる別の問題—抗原性の消失または減少という問題—が生じてくる。この問題は樹脂包埋切片を用いる限り避け難く,未だ克服されるには至っていない。今のところ,もっともよく抗原性を保存する樹脂としては,LowicrylK4M5)およびLR-gold6)を挙げることができる。pAg法は凍結超薄切片に適用された時,標識強度をもっとも上げる7)。
pAg法はHorisbergerら1)によって初めて細胞の表面を標識する方法として走査電子顕微鏡に導入された。その後,この方法はRothら2)によって超薄切片上の抗原検出に応用され,現在もその適用射程を広げている。原理はStaphylococcus aureusの細胞壁蛋白,プロテインA(pA)がIgGのFc部分と特異的に結合する3)という性質を利用して,切片上の抗原と結合したIgGを検出するもので,pAをあらかじめ金コロイドで標識しておけば抗原の位置は金粒子として可視化される。ここで異なった大きさの金粒子を結合したpAを使えば,同一切片上で複数の抗原を検出することが可能となる4)。一般に,免疫細胞化学の方法は抗体を組織や細胞に作用させる段階によって,前包埋法と後包埋法の二つに分けることができる。pAg法は後者に属し,前包埋法の最大の難点である抗体の組織への浸透の問題は,切片の表面で抗原—抗体反応を行うので,完全に回避できる。しかしながら,一方で固定—脱水—包埋の過程で引き起こされる別の問題—抗原性の消失または減少という問題—が生じてくる。この問題は樹脂包埋切片を用いる限り避け難く,未だ克服されるには至っていない。今のところ,もっともよく抗原性を保存する樹脂としては,LowicrylK4M5)およびLR-gold6)を挙げることができる。pAg法は凍結超薄切片に適用された時,標識強度をもっとも上げる7)。
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