icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学37巻4号

1986年08月発行

特集 細胞生物学実験マニュアル

基本技術

酵素抗体法

著者: 中根一穂1

所属機関: 1東海大学医学部細胞生物学教室

ページ範囲:P.415 - P.417

文献概要

 ある抗原はある抗体と特異的に結合反応する。この反応を細胞内あるいは組織内で施行して,抗原—抗体反応箇所を知ることにより抗原および抗体の局在箇所を明確にするのが免疫組織化学である。
 蛋白質,糖,脂質の合体である細胞内や組織内の抗原と蛋白質である抗体が,抗原—抗体反応物を形成しても,反応箇所を検出するのは困難である。そのため,通常,後に検出可能な物質をあらかじめ抗体に標識しておく。標識として従来,利用されてきている物質としては,放射性同位元素,色素,重金属,小粒子,螢光物質,酵素などがある。放射性同位元素を標識として使用した場合には,後にオートラジオグラフにより抗原—抗体反応物形成箇所を検出して抗原の局在箇所を明確化する。色素,重金属や小粒子で標識した抗体を使用した時には,そのまま反応箇所を検出するか,二次的にシグナルを化学的に増幅した後に検出する。螢光物質を利用した場合には螢光顕微鏡により標本を観察することにより反応箇所を検出する。酵素を標識物質として使用した場合には,この酵素を酵素組織化学的方法により局在の証明をして,抗原—抗体反応箇所を検出する。このような標識抗体を利用して免疫組織化学的方法を施行するには,液体内やゲル内で免疫複合体を形成させるのとは異なった条件を考慮する必要がある。まず細胞や組織は,形態を保存するために,免疫組織化学的方法を施行する以前に固定する必要がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら