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特集 細胞生物学実験マニュアル 基本技術
In situハイブリダイゼイションによるmRNAの検出法
著者: 小路武彦1 中根一穂1
所属機関: 1東海大学医学部細胞生物学教室
ページ範囲:P.435 - P.437
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遺伝子クローニング技術の発達に伴い莫大な数の遺伝子DNAが単離され,その塩基配列が決定されている。このようなクローンDNAを用いて組織から抽出したDNA,RNAとフィルター上でハイブリダイズさせ,特定の遺伝子の存在あるいは発現を調べる方法もすでに確立されている。しかしながら,この方法から得られた結果は組織の平均値であり細胞個々の生理状態を必ずしも反映していない。Histo-in situ hybridization(HISH)法は,特異的塩基配列をもった核酸の分布を組織および細胞内で同定することにより特異遺伝子と遺伝子産物の局在証明をする新しい組織細胞化学的方法である。この方法によれば,酵素抗体法(前出)などによって局在が証明された蛋白質が実際にその細胞内で合成されているのか否かなどについての知見が得られる。
HISH法は大きく分けて放射性同位元素で標識したprobeを用いる方法とハプテンなどの非放射性物質標識probeを用いる方法があるが,最近は,操作上要する時間,解像力,多重染色,電顕への応用,安全性などの点から後者がさかんに検討されている。われわれはdinitrophenyl(DNP)基標識1)あるいはスルホン基標識2)probeを用いてin situでhybridizationを行い,それら官能基に対する抗体でsignalを検出しているが,本稿では主としてDNP法について述べる。
遺伝子クローニング技術の発達に伴い莫大な数の遺伝子DNAが単離され,その塩基配列が決定されている。このようなクローンDNAを用いて組織から抽出したDNA,RNAとフィルター上でハイブリダイズさせ,特定の遺伝子の存在あるいは発現を調べる方法もすでに確立されている。しかしながら,この方法から得られた結果は組織の平均値であり細胞個々の生理状態を必ずしも反映していない。Histo-in situ hybridization(HISH)法は,特異的塩基配列をもった核酸の分布を組織および細胞内で同定することにより特異遺伝子と遺伝子産物の局在証明をする新しい組織細胞化学的方法である。この方法によれば,酵素抗体法(前出)などによって局在が証明された蛋白質が実際にその細胞内で合成されているのか否かなどについての知見が得られる。
HISH法は大きく分けて放射性同位元素で標識したprobeを用いる方法とハプテンなどの非放射性物質標識probeを用いる方法があるが,最近は,操作上要する時間,解像力,多重染色,電顕への応用,安全性などの点から後者がさかんに検討されている。われわれはdinitrophenyl(DNP)基標識1)あるいはスルホン基標識2)probeを用いてin situでhybridizationを行い,それら官能基に対する抗体でsignalを検出しているが,本稿では主としてDNP法について述べる。
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