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文献詳細

雑誌文献

生体の科学37巻5号

1986年10月発行

文献概要

特集 中間径フィラメント

サイトケラチンと表皮細胞

著者: 北島康雄1

所属機関: 1自治医科大学皮膚科

ページ範囲:P.447 - P.453

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 表皮細胞における中間径線維は,生化学的にケラチン線維タンパクと呼ばれる中性緩衝液に不溶性の,分子量40,000(以下は×103をKとする)から70Kまでの一群のタンパクから成る。このタンパクはケラチン(keratin),α-ケラチン,ケラチン線維タンパク(keratinfilament protein),プレケラチン(prekeratin)あるいはサイトケラチン(cytokeratin)といくつかの名称で呼ばれている。毛のケラチンがα-ヘリクスであるというPaulingとCorey(1953)1)のX線回折から得られた分子モデルは有名であるが,表皮細胞ケラチンの歴史は,Rudall(1952)2)がウシ表皮から6M尿素溶液を用いてα-ヘリクスを有する線維性タンパクを抽出し,エピデルミン(epidermin)と名付けたことに始まった。後にこれは,表皮ホモジェネートを中性緩衝液(リン酸緩衝生理的食塩水など)で洗浄遠沈した沈渣からクエン酸緩衝液pH 2.65で抽出され,中性緩衝液に対する透析によって線維を形成する線維性タンパクであるプレケラチン3)と,またその残渣から8M尿素で抽出され,これもまた中性緩衝液に対して透析することによって10nmの太さの線維を形成する線維タンパクであるケラチン(α-ケラチン)4,5)と本質的に同一物質であることが示された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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