icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学37巻5号

1986年10月発行

文献概要

特集 中間径フィラメント

肝細胞の中間径フィラメント

著者: 岡上武1 太田正治1 瀧野辰郎1

所属機関: 1京都府立医科大学第3内科

ページ範囲:P.454 - P.459

文献購入ページに移動
 肝細胞には微小管(microtubule:MT),中間径ブィラメント(intermediatc filament:IF)とマイクロフィラメント(microfilament:MF)と呼ばれる3種の線維状蛋白が存在し,細胞骨格(cytoskeleton:CS)を形成している。IFは生化学的,免疫学的性状の違いから五つに分けられ,肝細胞は他の上皮細胞と同様にケラチンを主な構成蛋白とする線維状構造物である。マウスの肝細胞のIFの分子量は41,000〜55,000,ラットで43,000〜56,000といわれている。
 IFは直径が約10nmであることから,10nmフィラメントとも称されている。IFという名称はIshikawaら1)により提唱されたものであるが,肝細胞のIFの研究の歴史は比較的新しく,1975年Frenchら2),Phillipsら3)がMFの研究中にIFを発見したのが最初である。肝細胞細胞骨格(肝CS)のなかではMFに関する研究がもっともよくなされており,従来IFは動的意味を持たずかつ安定性のある細胞骨格であるとの認識もあり,MFほど研究されていない。IFが臨床的に注目されだしたのは,アルコール性肝炎の形態面でのkey featuresともいえるアルコール硝子体(Mallory body:MB)形成にIFが関学していると考えられだした時4)からである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?