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文献詳細

雑誌文献

生体の科学37巻5号

1986年10月発行

文献概要

特集 中間径フィラメント

中間径フィラメントとデスモソーム

著者: 月田早智子1 月田承一郎1

所属機関: 1東京都臨床医学総合研究所超微形態研究室

ページ範囲:P.460 - P.468

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 細胞骨格は,細胞膜***と結合することにより,細胞膜の種々の機能をコントロールしていると考えられている。また,最近,細胞膜を介した情報伝達機構(トランスメンブレンシグナリング)における細胞骨格の役割も注目を集めている。細胞骨格を形成する繊維構造の中で,アクチンフィラメントと中間径フィラメントが,しばしば細胞膜と強く結合している1)。多くの場合,これらのフィラメントが細胞膜に結合する部位には,細胞膜の細胞質側に特殊に分化した構造として,「細胞膜裏打ち構造」が見出される2,3)。
 中間径フィラメントが細胞膜に付着する部位に特殊に分化している構造としてデスモソームがある4)。デスモソームは細胞間接着装置でもあり,発達した細胞膜裏打ち構造を有し,そこに中間径フィラメントが付着している。デスモソームは静的な構造ではなく,外的刺激や細胞内の指令により,随時,形成されたり,消失したりする。これらのことから,デスモソームは,細胞外刺激→細胞膜→細胞膜裏打ち構造→細胞骨格といった情報の流れを分析するのに好都合な材料と考えられ,形態形成や分化さらには癌化とも関連して,近年盛んに研究されている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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