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文献詳細

雑誌文献

生体の科学37巻5号

1986年10月発行

文献概要

特集 中間径フィラメント

中間径フィラメントの遺伝子制禦と神経発生

著者: 藤田晢也1 北村忠久1 福山隆一1 苗村健治1 渡辺幸彦2 中西和夫1

所属機関: 1京都府立医科大学病理学教室 2塩野義製薬研究所

ページ範囲:P.505 - P.517

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 歴史的にみると,細胞の中に張りめぐらされた,いわゆる細胞骨格のうちでチューブリンから成る直径25nmの微小管と,アクチンから成る直径6nmのマイクロフィラメントのちょうど中間のサイズをもつ細線維として中間径フィラメントが電子顕微鏡によって同定されたのが1960年台の後半である。Ishikawa et al.(1968,1969)1,2)はこの直径10nmの中間径フィラメントがその超微形態上の特徴やheavy meromyosinとの親和性の欠除などから,微小管やアクチンフィラメントとは違う別種の蛋白質から成る新しいentityに属する細線維であることを示した。
 最近では,これら中間径フィラメントの構成蛋白を同定し,その細胞内分布を可視化するのにそれぞれの線維の構成蛋白に対する特異抗体を利用するのが一般的になってきた。1970年台の免疫組織化学の進歩によって,中間径フィラメントには,その蛋白構成からいって,少なくとも5種類あることが確立し,それぞれが特定の細胞種に,かなり特異的に分布するものであることも明らかにされた。1986年になって,さらに興味のある新しい蛋白質が第6番目の中間径フィラメント蛋白として追加された3)。核膜の主要構成成分として知られていたlaminAとlaminCである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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