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特集 神経活性物質受容体と情報伝達
文献概要
ドパミンは神経伝達物質およびノルエピネフリンの前駆物質として種々の生理機能に深く関与している。とくに中枢神経系では,その異常としてパーキンソン病で代表される運動機能疾患や,精神分裂病で代表される高次精神機能疾患およびプロラクチンをはじめとする脳下垂体ホルモン分泌調節など,多彩な脳機能の制御に関与していることが知られている。さらに近年,末梢臓器においても,心臓血管系,消化器系,網膜,腎血管系などにおける機能調節にも重要な役割を果たしていることが明らかにされている。ドパミン受容体は,当初その本態はGreengardら1)が発見したドパミン感受性アデニレートサイクレースと考えられたが,薬物感受性による違いなどから,単一なものでなく,D1とD2の二つのサブタイプを持つことが明らかにされた。ドパミン受容体のサブタイプの分類は薬理学的,生理学的実験などから,いくつかの分類方法が提唱されていた。その後,放射性リガンドを用いた受容体結合実験の進歩とともに,ドパミン受容体サブタイプはさらにD1〜D4にまで細分化され,ここ数年前まではサブタイプの分類は混乱していた。しかし最近,受容体と膜内共役物質とくにグアニンヌクレオチド結合調節蛋白との関連性などから,ドパミン受容体のサブタイプの議論は一応整理されつつある。
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