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文献詳細

雑誌文献

生体の科学37巻6号

1986年12月発行

文献概要

解説

新しい解糖調節因子フルクトース-2,6-二リン酸の合成と分解を行う単一酵素Fructose 6P,2 kinase/Fructose 2,6 bisphosphatase

著者: 北嶋繁孝1 仁保喜之1

所属機関: 1九州大学医学部第一内科

ページ範囲:P.605 - P.608

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 フルクトース-2,6-二リン酸(fructose-2,6-bisphos-phate,Fru-2,6-P2と略)はホスホフルクトキナーゼ(phosphofructokinase,PFK)の活性化因子として新しく発見された糖リン酸化合物であり,図1に示す構造をもつ。よく知られた糖リン酸のフルクトース-1,6-二リン酸(fructose-1,6-bisphosphate,Fru-1,6-P2)とはC1位のリン酸エステル結合がC2位であることが異なるだけだが,両者の役割は大きく相違し,Fru-1,6-P2が解糖の代謝中間体であるのに対しFru-2,6-P2は解糖および糖新生の調節因子として働いている1-4)。すなわち図2に示すように,Fru-2,6-P2はPFKを活性化し,逆反応を触媒するフルクトース-1,6-ビスホスファターゼ(fru-1,6,-bisphosphatase,Fru-1,6-Pアーゼ)を阻害する5,6)。PFKに対しては,その活性化部位に結合することで,ATPによる阻害に拮抗し,Fru-1,6-Pアーゼに対しては,触媒部位で基質のFru-1,6-P2と競合しその活性を抑制する7)。このように解糖と糖新生との両酵素に相反的に作用することで種々のホルモン作用時あるいは病態時において糖代謝の流れを鋭敏にかつ精緻に調節する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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