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文献詳細

雑誌文献

生体の科学37巻6号

1986年12月発行

文献概要

話題

トランス・スプライシング—二本のmRNA前駆体からmRNAができる

著者: 高橋豊三1 重松貴1 満田年宏1 奥田研爾1

所属機関: 1横浜市立大学医学部細菌学教室

ページ範囲:P.609 - P.611

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 真核細胞では,タンパク質をコードしている遺伝子のほとんどが介在配列,すなわちイントロンを有している。これはいくつかの原核細胞においても見出されている。このイントロンは成熟mRNA(mRNA)が形成される過程において取り除かれる。すなわち,イントロンが取り除かれ,コード領域であるエキソンが正しい秩序で互いに正確にスプライスされるのである。このスプライシングの機構に関しては,二年前にin vitro splicingsystem1)が開発されて以来,長足の進歩を遂げたにもかかわらず,未だに不明なままである。しかし,明白と思われていたことが一つある。それは1本の成熟mRNAは,スプライシングの過程で一つの前駆体分子(pre-mRNA)から産生されるということである。いい換えれば,これは分子内反応だと信じられていたのである。しかし,何か驚くべきことのように思われるかもしれないが,適切な条件下でスプライシング反応を行うと,お互いに別個の二つのmRNA前駆体分子から容易に,お互いのエキソンを繋ぎ合わせることができるのである2)
 マサチューセッツ工科大学(MIT)のPhilip Sharpとその一門のRichard Padgett,Maria Konarskaは人工的にメッセンジャーRNAの前駆体を二つ作った。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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