文献詳細
文献概要
特集 医学におけるブレイクスルー/基礎研究からの挑戦
免疫疾患:自己免疫疾患とアレルギーの分子免疫生物学
著者: 平野俊夫1 末村正樹2 岸本忠三1
所属機関: 1大阪大学細胞工学センター 2大阪大学医学部第三内科
ページ範囲:P.8 - P.15
文献購入ページに移動抗体はよく知られているようにBリンパ球により産生され,Bリンパ球が抗体産生細胞へ増殖,分化するプロセスはTリンパ球により調節されている。Bリンパ球は骨髄の造血系幹細胞より発生,分化するが,幹細胞よりプレB細胞をへて成熟Bリンパ球へと分化する過程で,あらゆる抗原に対応しうるクローンの多様性,レパートリーが形成される。このプロセスはat randomに起こると考えられるから,当然自己の体成分に特異性をもつBリンパ球クローンも出現することになる。しかし正常な抗体産生においてはこれらのクローンが抗体産生細胞にまで増殖,分化することはほとんどない。しかしながら,正常の免疫応答機構になんらかの異常が生じた場合は,自己の成分に対する免疫応答が起こり,この結果,種々の自己免疫疾患が発生することになる。また,気管支喘息などの即時型アレルギーは,IgE抗体により引き起こされることはよく知られている。これらの免疫異常症の発症機序を解明するためには,正常な免疫応答がどのように調節されているか,どのような異常が自己抗体の産生につながるか,アレルギーを引き起こすIgE抗体産生は,どのように制御されているかという問題を解明する必要がある。
掲載誌情報