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特集 医学におけるブレイクスルー/基礎研究からの挑戦
癌研究のブレイクスルー:逆転写酵素,癌遺伝子,増殖因子,Cキナーゼ
著者: 黒木登志夫1
所属機関: 1東京大学医科学研究所癌細胞学研究部
ページ範囲:P.17 - P.20
文献購入ページに移動 他のすべての研究と同じように,癌研究は医学生物学の発展に支えられながら進んできた。癌研究が他の研究分野の牽引車となったこともあったし,他の分野の技術によって癌研究が恩恵を受けたことも多かった。生命の本質を対象としているが故に,そして,その研究分野の裾野が広い故に,癌研究と他の研究分野の係わり合いは何にもまして大きく,この傾向は今後も続いていくに違いない。
このように考えてみると,癌研究のブレイクスルーは,取りも直さず,医学生物学全体のブレイクスルーであることが少なくない。しかし,それはそんなに新しいことではない。1970年以前に,癌の外側にいる研究者たち──それも遠く離れた人たちではなく,ほんの少し外にいる研究者―から,癌研究は莫大な金を使いながら,他の分野の発展にはほとんど貢献していないではないか,という批判がよく聞かれた。確かにそう言われても止むを得ない面もあった。その当時の癌研究は,他の分野の成果,たとえぼ感染性ウイルス学や免疫学の知識を癌研究に応用しただけのものが少なくなかった。
このように考えてみると,癌研究のブレイクスルーは,取りも直さず,医学生物学全体のブレイクスルーであることが少なくない。しかし,それはそんなに新しいことではない。1970年以前に,癌の外側にいる研究者たち──それも遠く離れた人たちではなく,ほんの少し外にいる研究者―から,癌研究は莫大な金を使いながら,他の分野の発展にはほとんど貢献していないではないか,という批判がよく聞かれた。確かにそう言われても止むを得ない面もあった。その当時の癌研究は,他の分野の成果,たとえぼ感染性ウイルス学や免疫学の知識を癌研究に応用しただけのものが少なくなかった。
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