icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学38巻1号

1987年02月発行

文献概要

特集 医学におけるブレイクスルー/基礎研究からの挑戦

癌研究のブレイクスルー:逆転写酵素,癌遺伝子,増殖因子,Cキナーゼ

著者: 黒木登志夫1

所属機関: 1東京大学医科学研究所癌細胞学研究部

ページ範囲:P.17 - P.20

文献購入ページに移動
 他のすべての研究と同じように,癌研究は医学生物学の発展に支えられながら進んできた。癌研究が他の研究分野の牽引車となったこともあったし,他の分野の技術によって癌研究が恩恵を受けたことも多かった。生命の本質を対象としているが故に,そして,その研究分野の裾野が広い故に,癌研究と他の研究分野の係わり合いは何にもまして大きく,この傾向は今後も続いていくに違いない。
 このように考えてみると,癌研究のブレイクスルーは,取りも直さず,医学生物学全体のブレイクスルーであることが少なくない。しかし,それはそんなに新しいことではない。1970年以前に,癌の外側にいる研究者たち──それも遠く離れた人たちではなく,ほんの少し外にいる研究者―から,癌研究は莫大な金を使いながら,他の分野の発展にはほとんど貢献していないではないか,という批判がよく聞かれた。確かにそう言われても止むを得ない面もあった。その当時の癌研究は,他の分野の成果,たとえぼ感染性ウイルス学や免疫学の知識を癌研究に応用しただけのものが少なくなかった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?