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文献詳細

雑誌文献

生体の科学38巻1号

1987年02月発行

文献概要

特集 医学におけるブレイクスルー/基礎研究からの挑戦

代謝疾患:ミトコンドリア・サイトパチー

著者: 小澤高将1 田中雅嗣1 鈴木寛1 錦見盛光1

所属機関: 1名古屋大学医学部生化学第二講座

ページ範囲:P.42 - P.47

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 ミトコンドリアは細胞のエネルギー供給において中心的役割を果している。その異常は細胞機能の著しい障害をもたらす。近年,原因が不明であった神経疾患,筋疾患の中にミトコンドリアの異常によって惹き起こされるものがあることがわかってきた。四肢の自由がきかず脳性麻痺と診断されていた患者,進行性筋ジストロフィー症と診断されていた患者,脳卒中様発作を繰り返してんかんの治療を受けていた患者の血液を分析してみるとミトコンドリアでの呼吸障害を示す高乳酸血症が見つかり,骨格筋を生検し,組織学的に調べると,筋細胞の中でミトコンドリアが異常に増殖していることを示す所見が得られることがわかって来た。臨床家の間に,ミトコンドリア筋症(mitochondrial myopathy),ミトコンドリア脳筋症(mitochondrial encephalomyopathy)の概念が広まるにつれ,今まで見過ごされてきた中から,患者が数多く見つかるようになった。ミトコンドリアの異常により骨格筋や中枢神経系ばかりでなく,心臓,腎臓,肝臓などの障害が生じることが明らかになったため,ミトコンドリア異常による細胞の病気という意味でミトコンドリア・サイトパチー(mitochondrial cytopathy)と包括的に呼ばれるようになった1)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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