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文献詳細

雑誌文献

生体の科学38巻1号

1987年02月発行

実験講座

Ca-EGTA緩衝液の作製とその問題点

著者: 老木成稔1 岡田泰伸1

所属機関: 1京都大学医学部生理学教室

ページ範囲:P.79 - P.83

文献概要

 細胞内Ca2+は10−6M以下のレベルにおけるわずかな変化によって,多くの細胞機能調節に関わっている1)。細胞内灌流法やパッチ電極法およびpermeabilized cellmethodなどの実験技術の著しい進歩により,通常の小細胞においてもin vitroで直接細胞内を取り扱うことが可能となった。そのためには実験溶液の遊離Ca2+濃度を10−6M以下の領域でコントロールする必要があり,キレート剤を用いたCa緩衝液の使用が不可欠である。Caに対して親和性が高く,Mg2+による干渉の少ないEGTAがもっともよく使用されている。スイスのSchwarzenbach一門によって物理化学的性質が詳らかにされたこのEGTAは,江橋らによって最初に系統的な生物学的実験に供された。EDTAやEGTAの使用は,筋肉の収縮機構の研究における輝かしい成果2)の不可欠の契機となった。
 Ca-EGTA緩衝液中の遊離Ca2+濃度の計算には次の二つのやり方がある。それぞれの実験条件での「みかけの結合定数」(後述)を測定し,それを用いて計算する3,4)。あるいは,与えられた「絶対結合定数」(後述)のセット値を選択して(コンピュータを用いて)計算する5-7)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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