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文献詳細

雑誌文献

生体の科学38巻1号

1987年02月発行

文献概要

話題

細胞内転送異常と自己免疫

著者: 藤田道也1

所属機関: 1浜松医科大学生化学教室

ページ範囲:P.89 - P.91

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 1970年代初期から,胸腺由来リンパ球(T細胞)と骨髄由来のそれ(B細胞)の間の相互作用(T-B協同)は組織適合抗原によって制限(restriction)を受けることが報告されてきた1)。つまり,抗体産生のための情報伝達が成立するためにはT細胞とB細胞が同一の組織適合抗原を共有しなければならない。このようなヘルパ-T細胞(TH)だけでなく,細胞障害性T細胞(Tc)とその標的細胞も同様な制限を受ける2)。また,T細胞とそれに抗原を提供するマクロファージの間でも同様の制限が見られる3)
 主要組織適合抗原遺伝子複合体(MHC)は組織適合を支配する遺伝子クラスターとして見出された。ヒトのそれはHLA,マウスのそれはH-2とも呼ばれる。上記のような"T細胞制限"に関与するのは,MHCの発現産物(膜蛋白)のうちクラスⅠおよびⅡと呼ばれるものであり,それぞれの遺伝子領域も決定されている。クラスⅠ分子は細胞障害作用に,クラスⅡ分子はヘルパー作用に関与する。言い換えれば,T細胞は抗原とこれらのMHC分子の一つを同時に認識しなければならない。また,このようなT細胞の二重特異性は高等脊椎動物にとって普遍的現象だと考えられている4)。抗原とMHC産物をT細胞がどのように認識するかについては,それぞれに対して別個に受容体をもつという説と,同一の受容体に2種の受容部位があるという説がある(図1)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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