icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学38巻2号

1987年04月発行

文献概要

特集 体液カルシウムのホメオスタシス

PTHとカルシウムホメオスタシス

著者: 竹内靖博1 松本俊夫1 尾形悦郎1

所属機関: 1東京大学医学部第4内科

ページ範囲:P.95 - P.98

文献購入ページに移動
 生体の細胞外液カルシウム(Ca)は,骨格系・歯牙の発育と維持,横紋筋・平滑筋の収縮と弛緩,神経系の機能調節などに重要な役割を果たしており,生体内外の環境の変化にかかわらず,きわめて厳密に維持調節されている。ヒトの場合,細胞外液Ca濃度を反映する血清Ca値は8.5mg/dlから10.2mg/dlの狭い範囲に維持されている。陸棲動物の場合は水棲動物と異なり,必然的に生体内Caは常に体外へ喪失していく傾向にあるため,血清Ca濃度を一定の値に維持するためには常にこれを血中に保持する機構が必要である。この血清Ca濃度の維持の上でもっとも重要なホルモンが副甲状腺ホルモン(Parathyroid hormone:PTH)とビタミンDである。PTHとビタミンDはともに血清Ca値を上昇させるホルモンであり,両者が共同して生体内Ca喪失を抑制し,細胞外液Caを一定の範囲に保つ役割を果たしている。
 PTHは84個のアミノ酸で構成されるポリペプチド・ホルモンであり,その標的臓器は骨と腎臓である。PTHはこれらの臓器に作用して直接,さらに腎でのビタミンDの活性化を促進することにより間接的に血清Ca値を上昇させる方向に働いている。本稿では,細胞外液Caの恒常性維持におけるPTHおよびビタミンDの役割を概説し,あわせてPTH合成の調節機序についても簡単に触れる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?