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文献詳細

雑誌文献

生体の科学38巻2号

1987年04月発行

文献概要

特集 体液カルシウムのホメオスタシス

カルチトニンとカルシウムホメオスタシス

著者: 山口正義1

所属機関: 1静岡薬科大学産業衛生学教室

ページ範囲:P.104 - P.110

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 カルチトニン(calcitonin;以下CTと略す)は,アミノ酸32個を有するポリペプタイドホルモンである。このものは血中カルシウム(Ca)の調節に関する実験生理学的研究の過程において発見されたもので,1962年にはじめて報告されてから今日まで25年を経過している。このホルモンの生理的意義については十分に解明されたとはいいがたいが,CTが哺乳類では甲状腺から,鳥類,両棲類および魚類では鰓後腺から分泌され,CTの強力な血中Ca低下作用が共通の生物学的現象であることから,このホルモンがCa代謝の調節にきわめて重要な生理的役割を果たしているものと理解されるにいたった。
 CTは,哺乳類では甲状腺の基底膜の内部に含まれる傍濾胞細胞(C細胞)から分泌される。このホルモンの分泌は甲状腺静脈血管内のCa濃度が高くなると促進され,血中Ca濃度の上昇を調節する。この作用は,他のCa代謝調節ホルモンである副甲状腺ホルモンならびに活性型ビタミンD3〔1α,25-lihydroxyvitamin D3;1α,25(OH)2D3〕の血中Ca濃度上昇作用とは異なり,CTの特異作用として血中Caのホメオスタシスに役立っている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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