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連載講座 哺乳類の初期発生
マウス生殖系列への遺伝子導入
著者: 勝木元也1
所属機関: 1東海大学医学部細胞生物学教室
ページ範囲:P.143 - P.149
文献購入ページに移動 I.細胞への遺伝子導入
特定の遺伝子の発現調節機構の研究にとって,調べようとするゲノム遺伝子DNAのクローニングと,細胞への導入は,きわめて有効な手段である。とくに分化によってはじめて発現がみられるような遺伝子では,導入しようとする細胞の選択が重要となる。しかし体外で培養された細胞は,多くの場合染色体が正常でなかったり,線維化を起こしていたりしており,正常細胞とはとうてい言えないことが多い。それでもミエローマ細胞はリンパ球細胞の性質を残しているし,ニューロブラストーマ細胞は神経細胞の性質を残しているなど,遺伝子の組織特異的発現の機構を調べる目的に使うことができる。これらの研究を通して遺伝子発現に関与するプロモーターやエンハンサーなどの塩基配列が解明されつつある。
一方,受精卵や初期胚も細胞である。マウスを材料としてここ10数年の培養技術の進歩により,これらの細胞も比較的容易に短期間の培養ができるようになってきた1)。受精卵や初期胚の特徴は,個体にまで発生できる能力をもっていることである。細胞は正常の染色体をもち,正常に発生分化することができる。
特定の遺伝子の発現調節機構の研究にとって,調べようとするゲノム遺伝子DNAのクローニングと,細胞への導入は,きわめて有効な手段である。とくに分化によってはじめて発現がみられるような遺伝子では,導入しようとする細胞の選択が重要となる。しかし体外で培養された細胞は,多くの場合染色体が正常でなかったり,線維化を起こしていたりしており,正常細胞とはとうてい言えないことが多い。それでもミエローマ細胞はリンパ球細胞の性質を残しているし,ニューロブラストーマ細胞は神経細胞の性質を残しているなど,遺伝子の組織特異的発現の機構を調べる目的に使うことができる。これらの研究を通して遺伝子発現に関与するプロモーターやエンハンサーなどの塩基配列が解明されつつある。
一方,受精卵や初期胚も細胞である。マウスを材料としてここ10数年の培養技術の進歩により,これらの細胞も比較的容易に短期間の培養ができるようになってきた1)。受精卵や初期胚の特徴は,個体にまで発生できる能力をもっていることである。細胞は正常の染色体をもち,正常に発生分化することができる。
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