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実験講座
細胞内染色法の新技術—(Ⅰ)固定および生体組織標本中の標識ニューロンへの応用
著者: 田内雅規1
所属機関: 1生理学研究所神経情報部門
ページ範囲:P.150 - P.156
文献購入ページに移動 われわれは最近,顕微鏡直視下で行う単一細胞内染色法を開発した1,2)。この細胞内染色法は,染色しようとするニューロンをあらかじめ標識しておき,それらを螢光色素をつめたガラス管微小電極を用いて螢光顕微鏡下で見ながら刺入し,色素注入を行うものである。適当な細胞標識法を選ぶことによって対象とする特定のニューロンを選択することもできる。またこの方法は生体組織標本はもちろんアルデヒド固定処理した組織にも適用できる。われわれはこの方法を網膜のコリン作動性アマクリン細胞,ドパミン作動性アマクリン細胞,神経節細胞などの形態研究に適用して成果を上げてきたが,ここではその方法の概要を紹介し参考に供したい。
拡散性の螢光色素をつめたガラス管微小電極を単一ニューロンに刺入し,色素を注入して細胞の全体像を見る技術,いわゆる細胞内染色法(intracellular staining)はStrettonとKravitz(1968)による螢光色素プロシオン・イエローの使用により,神経生理学・生物学の研究手段として必須と言えるものになった3)。この方法を用いることによって,従来は困難であった中枢神経系細胞の活動と形態との対応が確立されるようになったのである4,5)。プロシオン・イエローは,その後,より光量子効率の高いルシファー・イエローにとって代られたがその応用の基本的な面は変っていない6)。
拡散性の螢光色素をつめたガラス管微小電極を単一ニューロンに刺入し,色素を注入して細胞の全体像を見る技術,いわゆる細胞内染色法(intracellular staining)はStrettonとKravitz(1968)による螢光色素プロシオン・イエローの使用により,神経生理学・生物学の研究手段として必須と言えるものになった3)。この方法を用いることによって,従来は困難であった中枢神経系細胞の活動と形態との対応が確立されるようになったのである4,5)。プロシオン・イエローは,その後,より光量子効率の高いルシファー・イエローにとって代られたがその応用の基本的な面は変っていない6)。
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