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文献詳細

雑誌文献

生体の科学38巻2号

1987年04月発行

文献概要

話題

トランスサイトーシス

著者: 高橋豊三1 満田年宏1 奥田研爾1

所属機関: 1横浜市立大学医学部細菌学教室

ページ範囲:P.161 - P.164

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 細胞表面の腫瘍マーカーや,レセプターなどに関しては,近年かなりのことがわかってきたが,レセプターが受けた信号が細胞内へ伝達される機構に関しては未だにわかっていない。また,膜タンパクとしてのレセプターが,ただ単にリガンドと結合するという機能だけでなく,細胞という一つの環境を舞台に運搬役をつとめ,細胞内の特定の経路をたどってリガンドを運搬する機能を有していることが近年明らかになりつつあるが,その詳しいメカニズムに関しては未だに不明な点が多い。換言すれば,細胞表面の物質の性状や分子論的なことはわかってきたが,それらの詳しい機能や細胞内物質との関連性などに関しては未だにわからない点が多いのである。それらの意味をふまえて今回,トランスサイトーシスに関して,最近話題になっていることを紹介したい。膜タンパクは細胞の特異的な位置に配位するように仕組まれている。たとえば極性上皮細胞のゴルジ体で産生された膜タンパクは,頂端部もしくは側・底部表面に輸送される(Rindler,et aL.:JCB,98:1304-1319,1984)。
 一般に膜タンパクは,多種多様な細胞でよく見出されるように,受容体の介在するエンドサイトーシス(receptor-mediated endocytosis)という過程によって特定の位置に選別されている。この場合,被覆ピットの中にレセプターが選択的にクラスターにされ,エンドサイトーシスによりエンドゾームへ輸送される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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