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シナプスの機能的可塑性の多様性と普遍性(チャネル修飾機序とCa2+-濃度緩衝機序)
著者: 久場健司1 熊本栄一1
所属機関: 1佐賀医科大学・生理
ページ範囲:P.170 - P.171
文献購入ページに移動 シナプス伝達の効率が,それ自身の高頻度の活動や他のシナプスの活動により,長期間にわたり,促進されたり抑制されたりすることが,多くのシナプスで見られ,シナプスが機能的に可塑性を持つことを意味する。これはシナプスの新生を伴うシナプス結合の可塑性とともに,学習や記憶の基礎過程として,大きな関心がよせられている1,2)。その中でとくに脊椎動物の中枢(とくに海馬)3)のシナプスで見られる長期増強(LTP)は,記憶との関連で注目されているが,その詳細な機序は不明の点が多い。最近末梢のシナプスでもこの海馬のLTPと同様な現象が見出されている4-6)。一方,軟体動物でのシナプス伝達の可塑性は,行動から分子レベルに至るまで分析され,脊椎動物の学習や記憶のモデルとして注目されている。シナプス伝達の可塑性の機序を,それを担う素子の面から見るとその伝達効率が如何にして変り,維持されるかということは興味深い。この問題をシナプス前性の促進機序にしぼって最近急速な進展を見せている蛋白質の燐酸化機構に関する知見7)をまじえて考えてみたい。
シナプス前性の可塑性の発生機序を単純化すると,条件刺激→中間過程→伝達物質放出の促進に分けられる。最後のステップに直接関与する機序としては,次の可能性が考えられる。
シナプス前性の可塑性の発生機序を単純化すると,条件刺激→中間過程→伝達物質放出の促進に分けられる。最後のステップに直接関与する機序としては,次の可能性が考えられる。
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