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文献詳細

雑誌文献

生体の科学38巻3号

1987年06月発行

文献概要

特集 人間の脳

左右脳の協同作用

著者: 平尾武久1

所属機関: 1群馬大学医学部行動医学研究施設

ページ範囲:P.210 - P.215

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 〔Ⅰ〕
 Hemispherectomyはinfantile hemiplegiaの患者が難治性のてんかん発作と異常行動を随伴する場合に,不随意側と対側の大脳半球を削除する手術である。術後に,hemiplegiaには変化なく,seizureも異常行動も完全に消失し,薬物を使う必要はなくなる。また,すでに多くの文献にも出ているとおり,どの側の半球切除でも手術の前後に言語障害は認められない1,2)
 一般に脳手術後の患者の精神機能については追跡が十分でない。hemispherectomyはKrynauw(1950)3)が術後4〜5年の患者を診て発作の再発がないことを確認し,本邦では新潟大学脳外科学の田中教授と次の植木教授4)が術後の患者を2〜3年間隔で数日間再入院させたり,教室員を患家に訪問させて,長期経過を診ていた。またMcFie(1961)5)は術後にIQが平均で20くらい上昇するのを,さらに,Griffithら6)は術後に大学に入学し卒業後に官庁の管理職を勤めている例でIQが上るのを報告し,Smith7)はリハビリ訓練中の態度や効果について論文や綜説を出している。最近は脳の代償機能やplasticityについての論議2),実験動物による研究8)も盛んになってきている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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