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文献概要
特集 人間の脳
脳の性差—機能的・形態的性分化
著者: 新井康允1
所属機関: 1順天堂大学医学部第2解剖学教室
ページ範囲:P.216 - P.222
文献購入ページに移動 男らしさ,女らしさというように,身体的な面ばかりでなく,色々と行動的にも男女の違いが認められるものがある。ヒトの場合,性役割の成立に文化的・社会的な要因がより重要と考えられ,生物学的な要因はそれほど重視されないようであるが,行動の発現を制御している脳にも何らかの性差があってもよいはずである。
空間認識能力が男女で微妙な差があるという心理学テストの結果もあるし,大脳皮質の機能の左右特殊化lateralizationの程度も男女で多少差があるという報告もある。また,最近数理的推論のきわめて高い能力をもった数学的早熟児は男子に多いということが報告され話題を呼んだ。このような男女差の成因について依然として社会環境要因説で説明しようとする傾向はあるけれども,これを何か生物学的基盤から考えようとする動きがでてきた1)。
空間認識能力が男女で微妙な差があるという心理学テストの結果もあるし,大脳皮質の機能の左右特殊化lateralizationの程度も男女で多少差があるという報告もある。また,最近数理的推論のきわめて高い能力をもった数学的早熟児は男子に多いということが報告され話題を呼んだ。このような男女差の成因について依然として社会環境要因説で説明しようとする傾向はあるけれども,これを何か生物学的基盤から考えようとする動きがでてきた1)。
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