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文献詳細

雑誌文献

生体の科学38巻3号

1987年06月発行

文献概要

特集 人間の脳

人脳の核医学

著者: 佐々木康人1 井上登美夫1

所属機関: 1群馬大学医学部核医学教室

ページ範囲:P.223 - P.228

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 I.脳の核医学検査──変遷──
 アイソトープ標識化合物をトレーサとして利用して生体の生理,生化学的機能を評価する専門分野が核医学(nuclear medicine)である。正常の血液-脳関門(bloodbrain barrier:BBB)を通過しない物質を放射性同位元素(radioisotope:RI)で標識して静脈内に投与し,脳局所の放射能を測定して,BBBが破壊された病巣,腫瘍,血管障害などを検出する検査はすでに1940年代に始まっていた。検出器を自動的に移動させながら,臓器上の放射能を一点ずつ測定し,放射能の強さを二次元表示するシンチスキャナの発明(Cassen, B. 1951)1)により,脳シンチグラフィが1960年代の主要な核医学検査となった。当初は131Ⅰ-ヒト血清アルブミン,203Hgクロルメロドリンなどがトレーサとして使用されたが,後に99mTc過テクネチウム酸ナトリウムが繁用されるようになった。単半減期(6時間),低ェネルギーγ線(140KeV),β線をもたないという物理的特性が,シンチカメラの開発2)と結びついた結果であった。
 一方,LassenとIngberら3)は拡散性の放射性希有ガス85Kr,133Xeをトレーサとして用い,局所脳血流量を測定した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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