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文献詳細

雑誌文献

生体の科学38巻3号

1987年06月発行

連載講座 脳の可塑性の物質的基礎

伝達物質合成系とその調節

著者: 奥野幸子1 藤澤仁1

所属機関: 1旭川医科大学第一生化学教室

ページ範囲:P.229 - P.234

文献概要

 神経の伝達は一つの神経細胞から次の神経細胞へと刺激を伝えてゆくことによって行われており,刺激の受容と伝達という機能を担う神経細胞は分化してその目的に適った特異な形をとっている(図1)。1個の神経細胞は神経細胞体,軸索,神経終末部から成っており,神経細胞体上には多数の樹状突起がある。前の神経細胞から刺激が樹状突起に伝えられるとその刺激は軸索を経て神経終末部に伝えられる。神経終末部内には神経伝達物質を貯えたシナプス小胞と呼ばれる顆粒があり,シナプス小胞は刺激に応じて神経伝達物質を細胞外へ分泌する。神経終末部は非常にわずかな間隙(シナプス間隙)を隔てて次の神経細胞の樹状突起と接しているので,神経終末部から分泌された神経伝達物質は次の神経細胞のレセプターに作用して刺激を伝えることができる。それぞれの神経細胞は各々固有の神経伝達物質によって刺激の伝達を行っており,神経伝達物質と推定されている化学物質は数十種類にも及ぶが,その主なものとしてアセチルコリン,カテコールアミンやセロトニンなどのアミン類,GABAやグルタミン酸などのアミノ酸類,サブスタンスPなどのペプチド類が挙げられる。神経伝達物質として働くには,これらの物質が神経終末部内に貯えられていて,刺激に伴って瞬時に細胞外へ分泌されねばならない。そして神経終末部内では次の刺激到来に備えてただちに神経伝達物質を合成し,分泌された分を補っておかねばならない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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