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文献詳細

雑誌文献

生体の科学38巻3号

1987年06月発行

文献概要

解説

女郎グモ毒の作用と構造

著者: 川合述史1 中嶋暉躬2

所属機関: 1東京都神経科学総合研究所病態神経生理 2東京大学薬学部薬品分析

ページ範囲:P.240 - P.244

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 神経伝達物質のレセプターに関する研究の進展は近年めざましく,ニコチン性アセチルコリンレセプターの全構造が決定されたのを皮切りにムスカリン性アセチルコリンレセプター,GABAレセプター,ヒスタミンレセプターなどが次々とクローニングによってその一次構造が明らかになりつつある。グルタミン酸は脳神経系においておそらくその半数近くのシナプスの伝達物質として作用していると考えられているが1-4),レセプターに関してはいまだに不明の点が多い。この最大の理由はグルタミン酸レセプター(以下Glu-R)の適当なリガンドがなかったためである。近年ある種のクモのなかにGlu-Rを微量で特異的に遮断する成分が見つかり5-10),この構造が最近明らかにされた11)。ジョロウグモ,オオジョロウグモ毒より精製単離されたこの毒素はJSTX,NSTXと名付けられたが,これらの天然毒を利用してのGlu-Rの機能および構造解明に向けての研究を展望する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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