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文献詳細

雑誌文献

生体の科学38巻3号

1987年06月発行

解説

脾臓と肝門静脈系

著者: 斎藤紘昭1

所属機関: 1東北大学医学部解剖学教室

ページ範囲:P.245 - P.248

文献概要

 脾臓と消化管の緊密な関係は両者の脈管系にも深い影響を留めている。左胃大網動脈,短胃動脈などを派出するヒトの脾動脈は消化管の代表的動脈である腹腔動脈の主枝であるし,一方,脾静脈は消化管の主たる静脈である腸間膜静脈または肝門静脈に流入する、どのような過程を経てこのような相互関係が生じるに至ったかを個体発生および系統発生の観点から明らかにすることが,この場合の形態学的認識にほかならない。
 系統発生的に脾臓は四型に分類される。1)メクラウナギの腸壁散在型,2)ヤツメウナギのラセンヒダ内に集積する型,3)肺魚の胃壁内に埋没する型,4)脊椎動物の多くがそうであるように胃腸管から分離し,背側間膜内に存在する型である(図1)。他方,個体発生的に脾臓は四相を経過しうる。1)消化管の特定動脈に添う脾原基の出現,2)その動脈の脾洞化,3)脾門脈の形成,4)消化管からの脾臓の独立である。このうち幾つかの,またはこれらすべての個体発生相が様々な割合で系統発生中に出現する。そして脾臓と消化管の間のこのような形態学的関係の変遷が胃・脾間,脾・腸間または胃・脾・腸間の血流動態の変遷と深くかかわることになる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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