文献詳細
文献概要
解説
ガングリオシド—その構造と新しい機能
著者: 鈴木康夫1
所属機関: 1静岡県立大学薬学部生化学教室
ページ範囲:P.332 - P.339
文献購入ページに移動 ガングリオシドは,疎水性セラミド部分と親水性シアル酸含有糖鎖からなるスフィンゴ糖脂質の一群である(図1)。ケルン大学のクレンク(E.Klenk)により,1935年脳で発見され1),神経節細胞(ganglial cells)に存在することからガングリオシド(ganglioside)と命名された(1942年)2)。現在,ガングリオシドは,新口動物(Deuterostomia)に含まれる各種動物の細胞に存在することが明らかとなっている。主として細胞膜脂質二重層の外層に分布しており,糖鎖を細胞の外側に配向している。その化学量はリン脂質に比べてはるかに微量であり,中枢神経系細胞を別にすれば,細胞の総脂質の数%を超えることはない。
細胞表面は一般に陰性に荷電しているが,ガングリオシドに含まれるシアル酸のカルボキシル基(-COO⊖)がその一原因となっている。近年,各種クロマト法,高分解能NMR(核磁気共鳴吸収法),陰イオンFAB-MS(高速中性粒子衝撃質量分析法)などにより,ガングリオシド分子種の系統的分離法3)や分子種マッピング法4),さらに最近,免疫学的手法によるピコモル(10−12モル)レベルの極微量定量法(Immunostaining法)5-8)などが新開発され,少なくとも50種を越える分子種が明らかにされている。
細胞表面は一般に陰性に荷電しているが,ガングリオシドに含まれるシアル酸のカルボキシル基(-COO⊖)がその一原因となっている。近年,各種クロマト法,高分解能NMR(核磁気共鳴吸収法),陰イオンFAB-MS(高速中性粒子衝撃質量分析法)などにより,ガングリオシド分子種の系統的分離法3)や分子種マッピング法4),さらに最近,免疫学的手法によるピコモル(10−12モル)レベルの極微量定量法(Immunostaining法)5-8)などが新開発され,少なくとも50種を越える分子種が明らかにされている。
掲載誌情報