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文献詳細

雑誌文献

生体の科学38巻5号

1987年10月発行

文献概要

特集 細胞生物学における免疫実験マニュアル 抗体の作製と吟味

モノクローン抗体の原理についての考察

著者: 矢原一郎1

所属機関: 1(財)東京都臨床医学総合研究所細胞生物学研究部門

ページ範囲:P.348 - P.350

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 モノクローン抗体が医学生物学に与えたインパクトは,はかり知れない。事実,モノクローン抗体法の潜在的価値によって,モノクローン抗体市場などという言葉がいちはやく世の中を駆け巡った。しかし,一方では,名ばかりのモノクローン抗体ブームが,役に立たない研究用モノクローン抗体試薬をモノクローン抗体であるというだけの理由で無数に世の中に送り出したこともあった。せっかく購入した抗体試薬が使いものにならず,腹の立つ思いをした研究者も少なくないと思われる。だが,KöhlerとMilsteinがモノクローン抗体を開発(1975年)1)してから年を経るにつれて,単なるブームを離れて本当に有用なモノクローン抗体が続々と作成されてきた。たとえば,Tac抗原に対するモノクローン抗体2)によってIL2レセプターの研究は飛躍的に進展した。各種の細胞を区別する特異的抗原に対するモノクローン抗体は,免疫学ばかりでなく,細胞生物学,発生学,形態学,解剖学,生理学,生化学,薬理学などで不可欠な試薬となっている。また,臨床検査試薬として役に立っているモノクローン抗体も少なくないであろう。
 以下にモノクローン抗体について,その原理と方法に由来する若干の問題点を考えてみたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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