icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学38巻5号

1987年10月発行

文献概要

特集 細胞生物学における免疫実験マニュアル 抗体の作製と吟味

エメチン/アクチノマイシンD法を用いたハイブリドーマ取得法

著者: 樋口昌宏1

所属機関: 1東京大学薬学部生体異物免疫化学教室

ページ範囲:P.382 - P.383

文献購入ページに移動
 Köhler Milsteinらによって開発された細胞融合技術1)はモノクローナル抗体取得という大きな成果をもたらしたが,その後その応用範囲はB細胞のみにとどまらず,T細胞,マクロファージその他多くの細胞へ応用されてきた。T細胞に関しても従来の方法であるhypoxantineguanine phosphoribosyl transferase欠損株またはthymidine kinase欠損株とTリンパ球とを融合させHAT培地で選択するという方法が一般的にとられるが,この際チミジンがT細胞系の増殖を抑制するため融合効率がその結果として低かった。
 われわれはこの問題点について改良したemetine-actinomycin D法という新しい融合方法を確立した2)。タンパク質の不可逆的合成阻害剤であるemetineはリボソームがmRNA上を移動することを阻害し,またポリゾームが単独ポリゾームに分離する過程を阻害することが知られている3)。一方RNAの不可逆的合成阻害剤であるactinomycin Dは低濃度では核小体におけるリボソームRNAの合成を阻害することが知られている4)。そこで両者を併用した場合,細胞内の使用可能なリボソーム量が減少し,かつ新たな合成を抑制するため,この処理を受けた親株は数日後に死滅する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら