文献詳細
特集 細胞生物学における免疫実験マニュアル
抗体の作製と吟味
文献概要
Köhler Milsteinらによって開発された細胞融合技術1)はモノクローナル抗体取得という大きな成果をもたらしたが,その後その応用範囲はB細胞のみにとどまらず,T細胞,マクロファージその他多くの細胞へ応用されてきた。T細胞に関しても従来の方法であるhypoxantineguanine phosphoribosyl transferase欠損株またはthymidine kinase欠損株とTリンパ球とを融合させHAT培地で選択するという方法が一般的にとられるが,この際チミジンがT細胞系の増殖を抑制するため融合効率がその結果として低かった。
われわれはこの問題点について改良したemetine-actinomycin D法という新しい融合方法を確立した2)。タンパク質の不可逆的合成阻害剤であるemetineはリボソームがmRNA上を移動することを阻害し,またポリゾームが単独ポリゾームに分離する過程を阻害することが知られている3)。一方RNAの不可逆的合成阻害剤であるactinomycin Dは低濃度では核小体におけるリボソームRNAの合成を阻害することが知られている4)。そこで両者を併用した場合,細胞内の使用可能なリボソーム量が減少し,かつ新たな合成を抑制するため,この処理を受けた親株は数日後に死滅する。
われわれはこの問題点について改良したemetine-actinomycin D法という新しい融合方法を確立した2)。タンパク質の不可逆的合成阻害剤であるemetineはリボソームがmRNA上を移動することを阻害し,またポリゾームが単独ポリゾームに分離する過程を阻害することが知られている3)。一方RNAの不可逆的合成阻害剤であるactinomycin Dは低濃度では核小体におけるリボソームRNAの合成を阻害することが知られている4)。そこで両者を併用した場合,細胞内の使用可能なリボソーム量が減少し,かつ新たな合成を抑制するため,この処理を受けた親株は数日後に死滅する。
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