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特集 細胞生物学における免疫実験マニュアル 抗体の作製と吟味
スクリーニング(ELISA法)
著者: 新井孝夫1
所属機関: 1筑波大学基礎医学系
ページ範囲:P.394 - P.398
文献購入ページに移動 モノクローナル抗体の作製には,①免疫,②細胞融合とHAT培地選択,③スクリーニングの三段階がある。①には動物を免疫することによって脾細胞を感作するin vivo免疫法と培養脾細胞を抗原と直接反応させるinvitro免疫法が用いられ,この段階は全ハイブリドーマクローンに対する目的の抗体を分泌するクローンの割合(陽性クローン率)に関係する。②は増殖するハイブリドーマクローンの総数を左右する。融合方法,条件や選択培地の組成のみを気にする人が多いが,融合に用いたミエローマ細胞の状態(対数増殖期前中期が良い)やHAT選択の際のはじめの細胞濃度もハイブリドーマの増殖に大きく影響することを忘れてはならない。③は個個のモノクローナル抗体作製に要する手間の大変さを左右するばかりでなく,得られる抗体の量と質に関係する。したがって,短時間内に多数の検体を処理できる感度の高い方法が要求される。この条件を満足するのが,固相に吸着させた抗原と結合したモノクローナル抗体を酵素標識された2次抗体で検出するELISA法(enzyme-linked immumo sorbent assay)である。この方法は上述のほか標識抗体の長期保存が可能なこと,放射線実験施設が不要なこと,肉眼でもある程度の定量性をもって判断できることなど多くの利点をもっている。
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