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文献詳細

雑誌文献

生体の科学38巻5号

1987年10月発行

文献概要

特集 細胞生物学における免疫実験マニュアル 抗体の作製と吟味

免疫拡散法

著者: 大日方昻1

所属機関: 1千葉大学理学部

ページ範囲:P.404 - P.405

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 免疫拡散法は,抗原,抗体あるいはその両者を種々の支持体内で拡散させ,生じた沈降線(帯)を観察する方法であり,ゲル内拡散法ともよばれている。支持体としては寒天(またはアガロース)ゲル,セルロースアセテート膜その他が用いられている。近年,モノクローン抗体法の登場およびそれに関連して,イムノブロット法などの新しい抗体検定法の開発により,免疫拡散法の重要性はやや薄れたかにみえる。しかし,依然として重要な実験手技であることに変わりはない。この方法の利点として,1)抗体,抗原が拡散過程で希釈されてそれぞれの濃度勾配ができ,適切な濃度域で沈降線を生ずる。したがって,かなり広範囲の抗体,抗原濃度で免疫反応を検出できる,2)免疫沈降線の数と位置関係から,抗体の純度,抗原蛋白質の免疫学的類似性を知れる,3)抗原濃度の算出ができること,などがあげられよう。一般的に,モノクローン抗体の場合には免疫沈降を生じないので,この方法は使えない。免疫拡散法には種々の方法があるが,紙面の制約からここでは,主にOuchterlony法について述べ,他の方法はごく簡単にふれるにとどめる。不足の点は,他の実験書1-4)を参照されたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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