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特集 細胞生物学における免疫実験マニュアル 抗体の標識
フェリチン標識法
著者: 山本章嗣1 田代裕1
所属機関: 1関西医科大学第一生理学教室
ページ範囲:P.421 - P.422
文献購入ページに移動フェリチンは分子量約80万の含鉄タンパク質で,直径約10nmの粒子状をなし,その中心部に水酸化鉄のミセルからなる,電子密度の高い約5nmのコアをもっている。1959年にSingerがフェリチン抗体法を開発して以来,電子顕微鏡レベルの解析に適した大きさをもつ天然の均一粒子として,フェリチンは抗体やレクチンなどの標識に広く用いられている。シグナル/雑音比が高く,計数可能なことはフェリチン標識法の大きな利点である。とくに,フェリチン1分子に抗体1分子とが結合したフェリチン・抗体等モル複合体を用い正確に抗原抗体反応を行わせると,生化学的定量法に匹敵する感度と精度をもって電顕写真上で抗原を定量的に検出することが可能である。この定量的フェリチン免疫電顕法の詳細については前報を参照されたい1,2)。
本稿では,抗体活性の低下が少なく,収量の安定しているKishidaら3)のグルタールアルデヒド2段階法を用いたフェリチン・抗体等モル複合体の作製法4)を紹介する。
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