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特集 細胞生物学における免疫実験マニュアル 特殊技術
抗イディオタイプを利用した抗体の作製法
著者: 米原伸1
所属機関: 1東京都臨床医学総合研究所細胞生物学研究部
ページ範囲:P.534 - P.535
文献購入ページに移動 この方法の応用として,ワクチンの設計やレセプターに対する抗体の作製があげられる。その基礎として抗原分子と抗体分子との間に相補性が存在し,抗体分子が新たな抗原となりうるという事実がある。わかりやすく説明しよう。動物に抗原分子を免疫すると抗体分子が産生され,抗原分子上の抗原決定基(エピトープ)と抗体分子中の結合部位の構造には相補性が成立するため特異性の高い結合が生じる。一方,抗体分子上にも他のタンパク質と同様,さまざまなエピトープが存在する(同一個体内で抗原となる抗体分子内のエピトープをイディオタイプという)。抗体を別の個体に投与すると,それに対する様々な抗体が産生される。その中には「抗原と結合する部位」に対する抗体も含まれる。最初の抗体をAb1,2番目をAb2と表示する。両者の結合部位には相補的関係が成立する。同じように,Ab2を投与するとAb3が産生される。抗原分子が細胞膜上のレセプターと結合する時には,これらの相補性のなかにレセプター分子も含まれうるわけである。これらの関係を図に要約した。Ab2がレセプターと結合できる仕組がおわかりいただけると思う。
実際にタバコモザイクウイルスではAb1とAb2がウサギ血清抗体として,Ab3とAb4がマウスモノクローン抗体として得られている1)。Ab3はウイルスと結合し,Ab4とAb1と結合するという。
実際にタバコモザイクウイルスではAb1とAb2がウサギ血清抗体として,Ab3とAb4がマウスモノクローン抗体として得られている1)。Ab3はウイルスと結合し,Ab4とAb1と結合するという。
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