文献詳細
特集 -チャンネルの最近の動向
文献概要
大部分の平滑筋細胞は-50〜-70mVの範囲に静止膜電位を持っており,それゆえ保持電位を-60mvにし,膜を-30mV以上に脱分極させると内向き電流が発生する。この内向き電流はTEAや4APなどのK電流遮断薬により増強する。これはTEAや4APに内向き電流増強作用があるからではなく,内向き電流と外向き電流が同時に誘発されるからで,細胞内のK+を除かない限り内向き電流を単離することはできない。すなわち平滑筋細胞でCaチャンネルやCa電流の性質を調べる場合は,細胞内が生理的なイオン環境(140〜160mMK+)であっては難しく,非透過型のイオン(たとえばCs+やTEA+)に置換することが必要である。
従来平滑筋組織においても電位固定法が応用され(二重蔗糖隔絶法)Ca濃度に依存する内向き電流を始め,数種のイオン電流の存在が確認されているが,細胞内の環境を制御できないことや多細胞標本によるため大きな直列抵抗が生じ容量電流が初期のイオン電流に重複したり,leak電流が大きいためCa電流などの速い時間経過の電流を正確に測定することが難しかった。さらには細胞間隙へのイオン蓄積や消退も考慮する必要があることなどからCaチャンネルの詳しい性質を調べることができなかった1)。
従来平滑筋組織においても電位固定法が応用され(二重蔗糖隔絶法)Ca濃度に依存する内向き電流を始め,数種のイオン電流の存在が確認されているが,細胞内の環境を制御できないことや多細胞標本によるため大きな直列抵抗が生じ容量電流が初期のイオン電流に重複したり,leak電流が大きいためCa電流などの速い時間経過の電流を正確に測定することが難しかった。さらには細胞間隙へのイオン蓄積や消退も考慮する必要があることなどからCaチャンネルの詳しい性質を調べることができなかった1)。
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