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文献詳細

雑誌文献

生体の科学38巻6号

1987年12月発行

文献概要

特集 -チャンネルの最近の動向

筋小胞体のCa2+チャンネル

著者: 葛西道生1

所属機関: 1大阪大学基礎工学部生物工学教室

ページ範囲:P.568 - P.572

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 筋小胞体は運動神経からの信号によってCaを遊離し筋を収縮に導き,Caを細胞質から取り去ることによって筋を弛緩に導く細胞内小器官である。筋小胞体のこれらの機能は分子レベルでは,CaチャンネルとCaポンプの働きとして理解される。最近の研究によって,Caポンプはその遺伝子構造まで解明されているが,Caチャンネルについてはその実体はまだ不明のままである。
 筋小胞体はCaを遊離する器官であることから,当然Caチャンネルが存在するはずである。しかし,現在に至るまで,筋小胞体からの生理的なCa遊離がどのチャンネルを通して起こっているかは明らかではない1-3)。遠藤らは2,3),スキンドファイバーを使った実験により,生理的に意義のあるCa遊離として,膜電位変化(脱分極)によってCaを遊離するチャンネルとCaによってCaを遊離するチャンネルの存在を示唆していた。われわれは4-8),筋小胞体ベシクルを使った実験によってCaによってCaを遊離するチャンネルの性質を詳しく調べた。最近,Meissnerらは9-13),筋小胞体ベシクルを人工膜に組み込むことによって,このCaチャンネルと同様の性質を持つCaチャンネルを単一チャンネルのレベルで観測することに成功した。ここではその結果を中心に解説する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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