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文献詳細

雑誌文献

生体の科学38巻6号

1987年12月発行

文献概要

特集 -チャンネルの最近の動向

Ca2+-チャンネルブロッカー

著者: 齊田孝市1

所属機関: 1マイアミ大学医学部薬理学教室

ページ範囲:P.573 - P.578

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 verapamil,diltiazemそしてnifedipine(図1)で代表されるCa2+-チャンネルブロッカーは,もともと冠血管拡張作用を目的に開発された薬である。当初その作用機序は不明であったし,もちろんCa2+-チャンネルブロッカーと呼ばれたわけでもない。当時verapamilとprenylamineの心臓に対する副作用を調べていたFleckenstein1)は,これらの薬の心臓抑制作用がCa2+の作用で拮抗されることから,1969年これらの薬をカルシウム拮抗薬と命名した。この名称は広く親しまれていて今でもしばしば使われている。1983年LeeとTsien2)は,whole cell clamp法を心筋の単一細胞に適用し,カルシウム拮抗薬がCa2+の内向き電流を抑えることをはっきりと示した。さらにpatch-clamp法3)がカルシウム拮抗薬の研究にも導入されて,カルシウム拮抗薬がCa2+チャンネルの開口機構に影響を与えることまでわかってきた4)。このようにカルシウム拮抗薬の作用機序がより明確になるにつれて,Ca2+の作用と拮抗するという意味のカルシウム拮抗薬と呼ぶよりも,Ca2+エントリーブロッカー,あるいはCa2+-チャンネルブロッカーと呼ぶようになってきた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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