話題
国際シンポジウム「生筋における細胞内カルシウムの局在と動態」
著者:
栗原敏1
北澤俊雄1
所属機関:
1東京慈恵会医科大学第二生理学教室
2順天堂大学医学部薬理学教室
ページ範囲:P.604 - P.609
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筋細胞内カルシウムの働きに関する国際シンポジウムが,昭和62年5月18,19,20日の3日間,東京ガーデンパレスにおいて開催された,カルシウム・イオン(Ca2+)が,筋細胞の興奮—収縮連関および神経ホルモン—収縮連関においてもっとも重要な細胞内メッセンジャーであることは,これまで本誌の総説に書かれているとおりである。筋の収縮・弛緩は生体現象の中でもっとも顕著なものであり,その研究は生命科学の模範となってきた。わが国においても名取の筋原線維,Ca2+による筋収縮制御,トロポニンをはじめとする各種調節蛋白質の発見など数々の成果が世界に先駆けて誕生した。そしてそれらに関連した二,三の国際会議が,日本においてもすでに開催されている。しかし,現在,機能に対応した細胞内カルシウム濃度変化の測定技術が進歩したので,これまでに得られた生化学的,生理学的,および形態学的知識を統合し,生きた筋細胞という場においてCa2+の動きを通して筋の収縮弛緩を考え直す時期にきていると考え,東京慈恵会総合医学研究センター・酒井敏夫所長を中心として,国際シンポジウム"Localization and Movement of Cytoplasmic Calcium in Living Muscle"を企画し,開催した。