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文献詳細

雑誌文献

生体の科学39巻1号

1988年02月発行

話題

ハンチントン病

著者: 金澤一郎1

所属機関: 1筑波大学臨床医学系神経内科

ページ範囲:P.63 - P.66

文献概要

 ハンチントン病は,1873年米国のGeorge Huntingtonによってはじめて正確に記載された遺伝性神経変性疾患である。その特徴は成人発症の舞踏運動であること,知能・精神障害を伴うこと,これらの症状が進行すること,そしてもっとも重要なこととして,常染色体性優性遺伝すること,である。本症の遺伝についてはいくつかの事実が知られている。たとえば,長い本症の歴史の中で世代を飛び越しての遺伝(skip)が確認されている家系がほとんど皆無に等しいことから,本症の表現率はほぼ100%とみなしうることがわかっているし,明らかに突然変異によって発症したとする家系がきわめて少なく,現存するほとんどすべての家系は中世ヨーロッパに生じた異常遺伝子をそのまま連綿と受け継いでいると考えられている。アジア人種やアフリカ人種などに本症が著しく少ないのは,そのような異常遺伝子を白人との混血という形で引き継ぐことが少なかったためとみなされている。一方,本症は厳密に常染色体性優性遺伝形式をとり,例外はないと考えてよい。したがって,その異常遺伝子は22対の常染色体のどこかに局在しているはずである。これに対しては,古典的なヒト染色体マーカー,たとえば血液型,白血球型,血清酵素型などの多型形質との遺伝子連鎖の面から検討が積み重ねられてきた。しかしながらその連鎖はすべて有意なものではなかった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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