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特集 生体運動の分子機構/研究の発展
ダイニンATPaseと繊毛鞭毛の運動機構
著者: 清水隆1
所属機関: 1工業技術院繊維高分子材料研究所
ページ範囲:P.98 - P.101
文献購入ページに移動 前稿で真行寺,高橋両氏が記述しておられるように1),繊毛鞭毛の運動は各ダブレット微小管間の"すべり"によってひき起こされると考えられている2-8)。このすべりをもたらすのは,A小管からの突起,"腕"を構成するダイニンATPaseとB小管との相互作用,およびそれに伴うATPの加水分解であり,後者はこの運動のエネルギーを供給する9,10)。
これは,筋肉においてミオシンとアクチンがATPの加水分解を伴いつつ相互作用をして,収縮のための力を発生する機構と類似であると考えられる11)。この相互作用において,アクチンによってミオシンATPaseが顕著に活性化されるが12),同様の微小管によるダイニンATPaseの活性化が予想されていた。ATPaseの活性化は,そのATPaseの果す役割にとってもっとも重要なことであり,ダイニンATPaseの場合には微小管による活性化は,繊毛鞭毛運動の分子機構の中心を成すと考えられる。
これは,筋肉においてミオシンとアクチンがATPの加水分解を伴いつつ相互作用をして,収縮のための力を発生する機構と類似であると考えられる11)。この相互作用において,アクチンによってミオシンATPaseが顕著に活性化されるが12),同様の微小管によるダイニンATPaseの活性化が予想されていた。ATPaseの活性化は,そのATPaseの果す役割にとってもっとも重要なことであり,ダイニンATPaseの場合には微小管による活性化は,繊毛鞭毛運動の分子機構の中心を成すと考えられる。
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