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文献詳細

雑誌文献

生体の科学39巻2号

1988年04月発行

特集 生体運動の分子機構/研究の発展

筋収縮:急速凍結法によるアプローチ

著者: 月田承一郎1 矢野雅文2

所属機関: 1東京都臨床医学総合研究所超微形態研究部門 2東京大学薬学部薬品製造工学教室

ページ範囲:P.115 - P.118

文献概要

 生体運動の分子機構を電子顕微鏡を用いて研究する場合,電子顕微鏡像の持つ時間分解能が問題となる。電子顕微鏡像の持つ時間分解能とは,あまり聞き慣れない言葉であるが,「どのくらいの時間内に起きた構造変化を議論できる像であるか」というふうにここでは定義する。このような定義に基づくと骨格筋の収縮中に起きるアクチンフィラメントとミオシンフィラメントの滑り運動を分析するには,これまで述べられてきたように少なくともミリ秒の時間分解能が要求される。従来行われてきた電子顕微鏡用の試料作製法ではグルタールアルデヒドや四酸化オスミウムなどの固定剤を用いるために分のオーダーの構造変化を議論するのが限界であった。しかし,約10年前に,液体ヘリウムを用いた急速凍結法が電子顕微鏡試料作製法に応用されてから,事情は一変した1,2)。われわれは,独自の急速凍結システムを用いて様々な生体運動の分子機構について研究を進めてきたが3-6),最近収縮中の骨格筋の瞬間像を得ることに成功した7,8)。この小文では,われわれの成果をまじえながら,筋収縮の分子機構を探る上で,急速凍結法が持つ可能性について述べてみたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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