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文献詳細

雑誌文献

生体の科学39巻2号

1988年04月発行

文献概要

特集 生体運動の分子機構/研究の発展

筋収縮の新しい理論

著者: 矢野雅文1

所属機関: 1東京大学薬学部薬品製造工学教室

ページ範囲:P.119 - P.122

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 I.筋収縮理論について
 筋収縮は生物の基本的かつ重要な機能の一つとして多くの人の興味を引き研究が幅広く行われてきた。まずこれまでの研究の成果を振り返り筋収縮の研究で何が明らかにされ何が問題として残っているのかを纒めてみよう。筋収縮の研究は筋肉がATPの化学エネルギーを使って力学エネルギーへと変換する過程の研究である。すなわち両過程がどのように結合しているのかを分子レベルから明らかにすることにある。そのためには,a)力発生の単位であるミオシン分子とアクチン分子が張力発生中にどのような分子運動をするのか? b)その際両者に働く分子間力は何か? c)クロスブリッジサイクル(分子運動の1サイクル)とATP加水分解サイクルの中間体との対応はどうなっているのか? 力学的素過程と化学的素過程の結合はどうなっているのか? d)筋肉はミオシンとアクチンからなる分子的装置であるが,これらのシステムとしてのダイナミクスはどうなっているのか? エネルギー変換のダイナミクスにこれらの構造がどういう効果を及ぼしているのか?(各クロスブリッジは独立に働くのか?)を明らかにしなくてはならない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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