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文献詳細

雑誌文献

生体の科学39巻2号

1988年04月発行

文献概要

特集 生体運動の分子機構/研究の発展

軟体動物平滑筋のCatch機構

著者: 盛田フミ1

所属機関: 1北海道大学理学部化学第二学科

ページ範囲:P.127 - P.129

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 軟体動物の一種である貝類は,貝殻を閉じた後,長時間そのままの状態を続けることがある。この持続的な閉殻には,貝柱に含まれている平滑筋が働いている。低いエネルギーの消費量で,何時間というオーダーで持続するこの経済的な収縮は,キャッチと呼ばれ,すでに今世紀初頭から知られている1)。取り出された生筋を使った研究によると,キャッチ状態のエネルギーコストは,活性な張力発生時の約1/10とみなされている2)
 キャッチ収縮に関しては,古くから,ムラサキガイの前方足糸牽引筋〔Anterior bysuss retractor muscle(ABRM)〕を使った多くの生理学的研究がある3,4)。生きたABRMにアセチルコリンを添加すると,活性な張力が生ずるが,アセチルコリンを洗い去っても張力はただちに減少せず,非常にゆっくりと低下してゆく。この持続する張力がキャッチ張力と呼ばれ,セロトニンを添加すると急激に解除される3,4)。セロトニンはABRM細胞内のcAMP濃度を増大させる作用がある4,5)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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