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文献詳細

雑誌文献

生体の科学39巻2号

1988年04月発行

文献概要

特集 生体運動の分子機構/研究の発展

車軸藻類における周回型原形質流動

著者: 新免輝男1

所属機関: 1東京大学理学部植物学教室

ページ範囲:P.134 - P.137

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 I.車軸藻類の構造
 車軸藻類は湖,沼,田および川などに見られる緑色の藻で,一般にはシャジクモ(Chara)やフラス(コ)モ(Nitella)が良く知られている。藻体は仮根,節細胞,節間細胞および小枝細胞から成る(図1)。節間細胞は直径が1mm,長さが数cmに達する円柱形をした多核の巨大細胞である。この利点を生かして車軸藻類の節間細胞は原形質流動,膜興奮およびイオン輸送などの研究によく用いられてきた。細胞の最外層にはセルロースを主成分とする細胞壁があり,数気圧にも達する膨圧を支えている。中心部は細胞体積の90〜95%にも達する液胞が占めている。原形質膜と液胞膜に囲まれて原形質の層がある。一層の葉緑体はゲル状の原形質外質に固着しており,その内側にあるゾル状の原形質内質が活発に流動している。流速は速い場合には100μm/秒にも達する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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