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特集 肺の微細構造と機能
呼吸上位中枢のトポグラフィー—横隔神経核への投射を中心とした考察
著者: 三浦光彦1
所属機関: 1群馬大学医学部第一生理学教室
ページ範囲:P.220 - P.224
文献購入ページに移動 従来,呼吸中枢の所在に関する研究には中枢神経系組織の部分的な破壊ないし切断効果から判定する方法,中枢神経系組織内のニューロン活動と呼吸運動との相関に基づいて判定する方法,中枢神経系組織の電気的ないし化学的刺激効果から判定する方法などが使用され,近年に至って呼吸中枢あるいは呼吸関連中枢の所在に関する概要が明らかになりつつある1)。この間,神経科学の分野に登場した新しい研究方法の応用がめざましいが,われわれの教室でもこれらのうちHRP法および微小電気刺激法を採用し,繁用実験動物であるネコおよびラットの呼吸中枢および循環中枢のマップ作りを目標に実験を進めている。ここでは呼吸中枢に関する結果の一部を解説したい2,3)。
呼吸運動の出力中枢としてもっとも重要なのは横隔神経核に所在する吸気運動ニューロン群である.そこに如何なる上位中枢神経系組織から呼吸リズム情報が送られてくるのか,この問題をHRP実験で解いてみた。図1Aは実験に使用した同心二重管電極の模型図であるが,この電極は外芯(o.e.)と内芯(i.e.)とから成り,電極尖端は組織を痛めないように竹槍状に研磨されている。図1Bに示した実験の概要のように,まず横隔神経を分離しその吸気に同期した発射活動の健在を確認し(R1),次に横隔神経を刺激し,(S1)頸髄前角領域で内芯を介して逆行性誘発電場電位を加算平均法で記録した(R2)。
呼吸運動の出力中枢としてもっとも重要なのは横隔神経核に所在する吸気運動ニューロン群である.そこに如何なる上位中枢神経系組織から呼吸リズム情報が送られてくるのか,この問題をHRP実験で解いてみた。図1Aは実験に使用した同心二重管電極の模型図であるが,この電極は外芯(o.e.)と内芯(i.e.)とから成り,電極尖端は組織を痛めないように竹槍状に研磨されている。図1Bに示した実験の概要のように,まず横隔神経を分離しその吸気に同期した発射活動の健在を確認し(R1),次に横隔神経を刺激し,(S1)頸髄前角領域で内芯を介して逆行性誘発電場電位を加算平均法で記録した(R2)。
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