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文献詳細

雑誌文献

生体の科学39巻3号

1988年06月発行

文献概要

連載講座 脳の可塑性の物質的基礎

軸索成長のメカニズム—軸索の成長に伴って増加する分子,GAP-43/B-50,PP-46,F1

著者: 村上富士夫1

所属機関: 1大阪大学基礎工学部生物工学科

ページ範囲:P.240 - P.246

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 軸索の成長は神経系の発生,再生,発芽などにともなって起こる重要な現象である。軸索の成長は発生過程や神経細胞に与えられた損傷の後などに起こるが,その制御の分子機構は明らかにされていない。
 軸索の成長の制御の機構として,①軸索末端(成長円錐部)における骨格蛋白などの修飾による局所的な構造変化による可能性と,②通常ではほとんど産生されない蛋白が遺伝子の制御によって多量に産生されるようになり,軸索輸送によって軸索末端まで運ばれて膜に組み込まれる可能性とが考えられる。②の可能性を支持するものとしてSkeneとWillardらによって発見されたGAP(growth associated protein)があるが,最近この蛋白と神経系における他の重要な現象の一つである長期増強,そして最近神経系における役割という点で重要性が高まっているC-キナーゼとを結びつけるような現象が見つかってきた。本稿ではこれらの問題に関する最近の知見について述べたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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